スピンドルは旋盤でフライスも考えたのですが、精度と剛性を確保するには試行錯誤が必要ということもあり、安直に既製品のスピンドルを利用することにしました。
選択したスピンドルはTeknomotorのNC35シリーズ ERコレット仕様を選択。
TeknoMotor NC35-A 0.33KW-18000RPM
公式サイト Teknomotor NC35
出力330W
最高回転数18000rpm
※公式サイトを見たのですが、語学力不足でトルクがよくわかりません。
こちらのFAQの12番にトルクについて書かれているのですが、トルク計算に必要な”Nominale speed”がスペック欄に書かれていないというか見当たらない・・・
18000rpmのことなのかな?
分かる方がいたら教えてください。
販売サイト
damencnc (海外サイトですが、日本へ発送してくれます。消費税がかからないこともあり安いです。)
http://www.damencnc.com/
ものづくりWEBショップ(国内の販売店です。)
http://monotsukuri.cart.fc2.com/
インバーターの選択
TeknoMotor NC35-A 0.33KW-18000RPMは三相誘導モーターなので駆動にはインバータが必要です。
汎用インバータの三菱電機D700シリーズを選択しました。
三菱電機(制御) FR-D710W-0.4K
400Wまでの三相モーターに対応するインバータです。
販売サイト
アマゾン ・・・・・16,400円
モノタロウ・・・・・19,900円
ミスミ・・・・・19,899円
ものづくりWEBショップ 23,700円
アマゾンが最安で16,400円。
モノタロウとミスミはほぼ同じ値段です。19,900円前後です。
ものづくりWEBショップはインバータの設定済みということで少々割高です。
設定項目自体難しいものではないので最安の販売店から購入した方がよいでしょう。
スピンドルとインバーターの配線
スピンドルとインバーターを取り付けます。
各配線は丸型裸端子を使うと安全且つ確実に設置できます。
使用した端子はインバータ側はR1.25-3.5。モーター側は1.25-4を使いました。
インバータとモーターの配線は、UVW端子を下の写真の通り取り付けました。
ちなみに、三相モーターの配線は特に決められていません。
適当に配線して、着方向にモーターが回転するようなら、任意の二本を入れ替えることで回転方向を逆向きにすることができます。
高電圧・大電流が流れますから、ネジはしっかり止めてください。
(ゆるみが出るとスパークして焼損します)
モーターは下の写真のように付属の短絡板を縦に3本設置します
パラメータの設定
スピンドルを動かすにはインバータを適切に設定する必要があります。
三菱電機のD700シリーズは取扱説明書に「初期値のままで運転ができるようになっています」と記載されています。
ですが、この記載は60Hzの標準モーターを想定していますから、このまま駆動すると電流過多でエラーになります。(保護回路がないインバーターではコイルが焼損します)
そのため、スピンドルの仕様書に従い、インバータを設定する必要がります。
スピンドルの仕様書
タイプ | 出力 | 電圧 | 周波数 | Rpm | 電流 | 重量 |
NC35-A | 3.3kw | 220V | 300Hz | 18000 | 2.1A | 2.5kg |
上記の仕様書に従いインバータのパラメータを設定します。
ただ、モーターの仕様には基底周波数を見つけることができませんでした。
たぶん上限周波数で問題ないと思います。
その他の設定値はスピンドル仕様の通りです。
実際の設定方法
では、実際にインバータを設定してみましょう。
まず、インバーターが簡易設定モードになっているので拡張設定モードに変更します。
インバータを起動したら、PU/EXTボタンを押して[PU]表示を点灯させます。
1.MODEボタンを押して、[PRM]表示を点灯させます。
2.ダイヤルを回して、P.160に合わせます
P.160は拡張設定の選択パラメータです。(マニュアルのパラメータ一覧参照)
1.SETボタンを押すと、P.160の現在の設置値(9999)が読みだされます。
2.ダイヤルを回し、0にします。
3、SETボタンを押すとパラメータ番号と設定値が交互に点滅します。
これで0と設定され、拡張設定モードに移行しました。
次にスピンドルモーターのパラメータを設定します。
インバータの設定項目は以下の通りにしました。
この状態で特にエラー無く動きますから問題ないと思います。
パラメータ表
パラメータ番号 | 設定パラメータ | 設定値 |
3 | 基底周波数 | 300Hz |
9 | 定格電流 | 2.1A |
18 | 上限周波数 | 300Hz |
19 | 基底周波数電圧 | 220V |
では、実際にインバータを設定してみましょう。
パラメータの設定は上記の拡張設定モードの設定と同じです。
1.[PRM]表示を点灯した状態でダイヤルを回してP.3に合わせます。
2.SETボタンを押すと現在の設定値が表示されます。
1.ダイヤルを回して300Hzにします。
2.SETボタンを押して設定します。
以下、同様の手順でパラメータ表の通り、スピンドルモーターのパラメータを入力していきます。
スピンドルの駆動
パラメータを全て入力したら、スピンドルを実際に動かしてみましょう。
上記の設定で、PUモードになっているはずです。
MODEボタンを何回か押して、[MON]表示を点灯させます。
1.ダイヤルを回して任意の周波数を指定します。(いきなり高速回転させず、最初は60Hz位に設定します。)
2.周波数の表示が5秒間点滅するので、その間にSETボタンをクリックすると「F」と「60.00」が3秒間交互に点滅し、「0.00」に戻ります。
3.RUNボタンを押すとモーターが回り始めます。
運転中にSETボタンを押す毎に、運転周波数→出力電流→出力電圧へと表示が切り替わります。
運転周波数
スピンドルの外部制御
インバータは外部からの入力によってON・OFFを制御できます。
↓写真の「SD」と「STF」を短絡することでモーターが正転します。
ちなみに「SD」と「STR」を短絡するとモーターが逆転します。
オリジナルマインドのドライバには、もともと24V-DCモーター用の制御装置があります。
そこで、リレーを使ってコントローラー側の24VがONになるとインバータの「SD」-「STF」の短絡を制御する仕組みをつくりました。
リレーは24V小型リレー946H-1C-24Dを使いました。
秋月電子にて、1つ70円で手に入ります。
各部品の配線図は下記の通り
初期設定では外部制御が無効になっています。
各ケーブルの配線をしたら、インバータ側の設定を変更します。
MODEとPU/EXTボタンを同時に押すと「79–」という表示に切り替わります。
ダイヤルを回して、「79-3」に合わせます。
SETボタンを押すと設定値が保存され、外部端子が有効になります。
パソコンからUSBCNCを起動し、スピンドル回転ボタンをクリックしてみましょう。
実際にCNCフライスに取り付けてみました
一応完成したフライスで切削してみましたが、トルクにつては全く問題なく、力強い切削が可能。
このクラスのフライであれば出力が足りないということはないと思います。
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