自作の作業部屋にエアコンを設置しました。
めんどくさがって業者に依頼しようとも思いましたが、自分でやって大正解。
意外なほど簡単。
しかもDIYとして結構楽しい!
こんなことなら自宅のエアコンも自分でやっていればよかったとつくづく思います。
設置するエアコン
今回取り付けるのは日立の白くまくん
自分で取り付けるので、ネットで一番安いお店で購入しました。
詳しい取付マニュアルが付属しているのでよく読めば初心者でも設置できる工事です。
ちなみにWEB上に取り付けマニュアルは公開されています。
→WEBマニュアル
必要な道具
エアコン設置には真空引き用のポンプ、フレアツール、トルクレンチなど専用工具が必要。
これら一つ一つ揃えるとエアコンがもう一台買えてしまうほど高価な道具。
でも最近はヤフオクで1000円~2000円ほどでレンタルできるのでこれらを利用すると良いでしょう。
私の場合はポンプを持っていたのでフレアとトルクレンチを購入しました。
(これだけで業者に依頼する金額より高くなってしまいましたが)
その他、カッターナイフや六角レンチ、モンキー、ペンチなどの工具が必要です。
追加購入の部品
エアコンは配管やケーブルが付属していないので自分でそろえる必要があります。
こちらはホームセンターに行けば3000円~8000円前後で売られています。
値段の違いは配管の長さ。エアコンの設置場所によって配管の長さはそれぞれなのでタコ糸などを使って必要な配管の長さを測定する必要があります。
このセットには配管とドレンホース、穴埋めパテ、ビニルテープなど、ほぼすべての部品が入っています。
電工用の配線ケーブルです。配管セットに同封されていることも。
芯は銅の単線になっていて、普通のコンセントケーブルとは違います。
(ケーブルの中には赤、白、黒の3本のコードが入っています。)
室外機の基礎です。
室外機を地面に直置きすると泥や雨水が溜まって故障の原因になるので必要。
安いものは一つ150円程度で購入できるので必ず取り付けましょう。
エアコン設置
まずはエアコンの据付版を壁にネジ止めし、壁に冷却管の穴をあけます。
壁の穴あけ
壁に穴をあける場合、通常はホールソー(径の大きな穴をあけるドリル)を使うのですが、グラスウール断熱の場合はむやみに穴をあけないほうがいいです。
というのも、グラスウールは室内外の温度差による内部結露を起こしやすい断熱材で、この結露を防止するため、気密シートで完全に密閉しているのです。
もし、壁に穴をあけてしまうと、防湿シートの気密性が損なわれ、壁の内側からカビてしまったり、最悪のケースでは木材が腐ってしまいます。
そこで、穴にエアコン用のスリーブを通し、気密テープで密閉する処置が必要
防湿シートを気密処理するときは、まず壁に穴をあけ、エアコン用スリーブを挿入します。
後は防湿シートとスリーブを気密・防水テープで貼り合わせるだけ
私は工房を作るときに穴を施工しましたが、新しく穴をあけるときも防湿シートを気密処理することは不可能ではありません。
とはいっても、すでに完成した壁にあけてた穴の気密処理は結構めんどくさいものです。
実はエアコン業者の穴あけ工事では、気密シートを密閉することはほぼありません。(WEBの施工例を見ても私が知る限り気密処理している例はありません)
なので高確率で気密性が失われ、住宅の寿命を大きく損なってしますのです。
据付版の設置
据付版を壁にネジ止めします。
この時も何も考えずねじ止めすると防湿シートに穴をあけてしまいます。
できる限り下地センサーなどを使い、柱の通っている個所にネジ止めしましょう。
特に石膏ボード壁の場合、アンカーを使ってねじ止めしても地震によって壁ごとめくれてしまうことがあるのでできる限り柱に木ねじ止めするようにした方が安心です。
据付版をねじ止めしました。
この時、できるだけ水平になるように据え付けます。
これはドレン排水をスムーズに行うためです。水準器を使えば簡単に水平を出すことができますが、紐におもりを付けたモノでも垂直がわかるので、道具がなくても水平を割り出すことができます。
Fケーブルの接続
室外機と室内機を電気的に接続するFケーブルを接続します。
まずは室内機側にFケーブルを接続しましょう。
エアコンに用いられるケーブルはΦ2mm 3線のVVFケーブルです。
Φ1.6mmケーブルで施工している例も少なくありませんが、取扱説明書にはΦ2mmと指定されているので従うことにします。
説明書に”何センチ剥がす”という説明があるはずなのでその説明に従います。
この寸法をいい加減に施工するとショートしてしまったり、接触不足で配線が過熱して危険な状態になります。
数ミリならずれても問題ありませんが、1cmもずれてしまうと問題です。
被覆を剥がすときはストリッパーを使いましたが、カッターナイフで簡単に切り落とすことができます。
3線は赤、白、黒に色分けされているので、室内機側の端子の色に合わせて挿入します
色は絶対間違えてはいけません。
エアコン配管をまとめる
エアコン配管を整形します。
取扱説明書に従って室内機の冷媒管(銅管)を任意の形状に折り曲げます。
特に工具は必要ありません。素手で曲げられます。
冷媒管を曲げたら、ドレン配管、Fケーブルをビニルテープでまとめます。
ビニルテープは強く締め付けすぎると断熱材を潰してしまいます。
断熱性能が低下し、結露などの原因になりますから力加減には気を付けます。
最後に配管保護テープで巻いて処理します。
保護テープは逆巻きで施工するのがセオリーです。
逆巻きとと管の終端側(室外機側)から巻き始める方法のこと。逆巻きにするとテープの隙間に埃や雨水が入りにくくなります。
が、壁の穴を通すとき、逆巻きでは通しにくいと思い、あえて順巻きに↓
配管を整形したら配管を壁の穴に通し、
室内機を据付版に引っかけるようにセットします。
穴を通した配管です。
ここから購入した冷媒管やドレン配管を繋げ、室外機へ接続します。
ドレン配管の接続
ドレン配管には室内機で生じた冷たい水が通ります。
そのため、室内(部屋や廊下)を通すときは結露防止のため、断熱配管を使う必要があります。
ホームセンターの取付セットに付属していたドレン配管は断熱配管ではないので、別途購入しました。
購入した断熱配管と室内機の配管は微妙に径が違っていたため、接続ジョインも購入して繋げます。
ジョイントも断熱仕様ですが、100円ほどと安価な部品です。
ドレン配管を接続してビニルテープを巻いて外れないようにします。
冷媒管の接続
室内機の冷媒配管は1/4インチ管と3/8インチ管の2種類あります
室外機側の配管は4cmほど長さが異なり、太管の方が短いです。
ホームセンターで売られている冷媒管は断熱材が接着されているのですが、4cmほど太管の方が長く、特に加工しなくてもエアコンに設置できるようになっていました。
素手でナットを締められるだけ締め付け、最後にトルクレンチを使って既定のトルクで増し締めします。
トルクレンチは既定のトルクに達すると”カクッ”とネック部が折り曲がるのですぐにわかります。
増し締めしたら断熱材を巻くのですが、ガス漏れを確認するまでそのままにしておきます
室外機の設置
室外機を設置し、冷媒配管を取り付けます。
室外機の横カバーを外します。
ここに、冷媒配管(太管・細管)と3線のVVFケーブルを取り付けます
配管切断とフレア加工
ホームセンターで購入した配管はフレア加工されているとはいえ、少し長いはず。
配管は1m長いと、電気代が1%上昇するといわれているので、できるだけ短いほうが経済的です。
そこで、通常は配管を切断して室外機の長さに合わせて加工します。
(見た目も良いですし)
まず、室外機の接続部に合わせてカッターで断熱材を切り取ります。
(フレア加工に失敗したらやり直せるように10cmほど長くしたほうが良い)
銅管をパイプカッターで切断します
(この時、切りくずがパイプの中に入らないように下に向けながら作業すると良い)
切断したら、パイプリーマーを使って内側のバリやカエリを取ります。
バリを取ったらフレア加工するのですが、
この時、ナットの挿入を忘れずに!
これがフレア加工した配管です。
綺麗なラッパ状に広がれば成功。
この加工の良し悪しで気密性が左右されますから、できるだけ綺麗なフレアになるよう、丁寧に作業しましょう。
トルクレンチで室外機に接続します。
細管が上、太管が下になります。
室内機と同様に、トルクレンチで締め付ける前に素手で締められるだけ締め付けてからトルクレンチで増し締めします。
真空引き
室外機のサービスポートに真空装置のコントロールバルブを接続します。
レンタルの真空ポンプには接続に必要なバルブ類がすでに取り付け済みですから、そのままネジ止めすればOK。
コントロールバルブを接続したら、「開く」の方向につまみを回します。
コックを開き、真空ポンプの電源をONにすると真空引きが始まります。
真空ゲージの針を見て、数秒~数十秒かけてゆっくり針が動けば配管を真空引きしていると判断できます。
もし、1秒以内に-0.1MPaに到達してしまったら、配管が閉じている可能性が濃厚。
真空装置のコックやバルブが開いているかもう一度確認しましょう。
最終的に、-0.1MPa以下に到達します。
このまま、電源を切らず、15分以上真空引きを続けます。
真空引きを終えたら、真空ゲージのバルブを閉じ、ポンプの電源をOFFにします。
(※この操作はポンプの機種によって手順が変わるので、レンタルするときはマニュアルを確認してください)
ちなみに、私の真空装置は逆止弁がないのでゲージとポンプを完全に切り離してから電源をOFFにしました。
さもないとポンプオイルが逆流してしまうからです。
↓この状態で、5分間針が安定していれば完全に気密状態ということが確認できます。
もし、針が少しづつ戻っていくようなことがあれば配管のゆるみやフレア加工をやり直すなど、処置が必要です。
袋ナットも元通り締め直してください。
怠ると冷媒ガスが抜けてしまうという情報もありました。
冷媒ガスの開放
細管側のサービスポートを開き、六角レンチでガスバルブを開きます。
いきなり全開する前に、ガス圧を掛けて漏れがないか最後の確認をしましょう。
まず、1/4回転だけ回し、5秒後に素早く閉じます。
バルブ周りに石鹸水をかけ、ガスの漏れがないか確認します。
ここで漏れがないようなら、細管・太管ともガスバルブを全開にします。
VVFケーブルとアースの接続
室外機にVVFケーブルとアース線を接続します。
VVFケーブルは室内機と同様に赤、白、黒の線を間違えないように差し込みます。
次にアース線をねじ止めします。
この手のDIYで勘違いされやすいのですが、アース線をねじ止めするだけなら資格不要です。
地面にアース棒を差し込むことは資格が必要ですが、すでにコンセントや地面に差し込まれたアース線を機器にネジ止めするだけならだれでもできる作業なのです。
ドレン排水の確認
室内機の熱交換器に水を注入し、室外機側のドレンパイプから排水されるか確認します。
もし、壁から水が漏れてしまったら、適切にドレン配管されていません。
途中で配管が波打っていないか、つまりがないかもう一度確認し直す必要があります。
仕上げ
配管保護テープで配管を巻きつけます。
保護テープを巻かないと、配管の断熱材が劣化してすぐにボロボロになってしまいます。
面倒でも必ず巻き付けましょう。
試運転
エアコンのコンセントを差し、電源をON。
フル回転で20分連続運転させ、異常がないことを確かめます。
説明が長くなってしまいましたが、実際に作業すると思ったほど手間はかかりません。
むしろDIY好きにとって楽しい作業になりますよ。
自己責任になってしまいまうのでお勧めするのもどうかと思いますが、結構面白い工事でした。
コメント