スポンサーリンク

ダイソーの300円スピーカーをバックロードホーンとして蘇らせてみた

木工

初めてスピーカー作りをやってみました。
初めてなので、いきなりスピーカーユニットを買うと敷居が高いので手軽に買えるダイソーの300円スピーカーを利用することにしました。

↓コレ。

ダイソーの300円スピーカーは値段の割に音が良く、結構人気があります。
(一時期、品薄で手に入らないこともあったそうですが、今は普通に手に入るようです。)

最終的にPCスピーカーとして利用したいので、机の上における位の大きさで考えています。
でも音質にもこだわりたいから、最終的に縦270mm×幅100mm×奥行160mmとギリギリの大きさになりました。

ゴムの集成材を使い、木目を生かす為にワコトオイルで自然な感じに仕上げています。

下でまとめていますが音質は比べ物にならないくらい向上しました。
動画でも音質比較していますが、その後エイジングが進んだことや、中華アンプの設定が煮詰まってきたので、より音質が良くなりました。

今までCreative Inspire T10というスピーカーをパソコンで使用していましたが、少なくともT10の音が安っぽい音に聞こえるくらい良い音になりましたよ
T10の音も悪くないのですが、比べるといかにもプラスチックから音が反響しているような音に聞こえます。
Creative Inspire T10 R3 スピーカー IN-T10-R3

スポンサーリンク

【100均】ダイソースピーカーユニット

USBミニスピーカー

ダイソーのスピーカーはUSBスピーカーと書いてありますが、USB端子は電力供給に利用するだけで、入力端子ではありません。
入力端子はイヤホンジャックがあるのでこれをパソコンやスマホに接続して利用します。


ケースには出力3Wmインピーダンス6Ω、周波数帯域35Hz~20KHzとなっています。

スピーカーの分解

↑スピーカーは裏側からネジ止めされています。
ネジを外すだけで分解できますよ。


ケースを分解するとスピーカーが出てくるので半田ごてを使ってケーブルを取り除きましょう。


↑100均のスピーカーとは思えないほどしっかりとした作りです。
市販の2インチスピーカーと同じ大きさの磁石が搭載されています。
はんだゴテが強力な磁石に引き寄せられるのでしっかり手に力を入れながら作業します。


アンプ側も同様の手順でスピーカーを取り出すのですが、USBケーブルとイヤホンジャックケーブルまで半田ごてで取り除くと面倒です。
そこでノコギリなどでプラケースを切断してケーブルを取り出しました。

バックロードホーンの設計

バックロードホーンが分からない人向けに少し説明します。
そもそもスピーカーというのは裸のまま使っても音が出ます。
ただし、そのままでは音がとても小さく、高い音の一部しか聞き取ることができません。

図1 スピーカー音波

何故かというと、スピーカーの振動板は前後に動くことで前と後ろで逆位相の音波が生成され、これがスピーカーの前後に回り込むことで互いに打ち消し合い、音が出ないのです。
「図1 スピーカー音波」参照
(高い音は指向性が強いので、そのまま耳に届きますが、低音ほど打ち消し合う力が強いので聞こえない)

図2 バックロードホーンその1

この打ち消し合う問題を解決する方法として、スピーカーを箱で覆い、後ろから出る音波を長いホーンで増幅させて前に放出すると効率的です。
これがバックロードホーンの原理になります。
「図2 バックロードホーンその1」参照

実際にはホーンが長い程低い音を増幅できるので有利です。
一方で、ホーンが長いとスピーカーサイズが大きくなり、小さいスピーカーに長いホーンを付けると逆に音が減衰してしまう問題もあります。

今回は小さなスピーカーであることと、卓上で利用したいことから、必然的に短いホーンになります。

バックロードホーンの計算式

ちなみに、私はオーディオマニアではないので機材はありません。もちろん、スピーカー作りもこれが初めてです。
なので、オーディオマニアの常識に縛られず、自由な発想でスピーカー作りができると思います。

とは言うものの、やみくもに作ったのでは意味がありません。少なくとも先人の知恵は有効に利用させていただきましょう!
てなわけで、バックロードホーンの設計を調べてみると、こちらのサイトに経験則に基づく計算式の算出方法が書かれていました。
http://kanon5d.web.fc2.com/audio/zisakusupi-ka-kouzatop.html

とても分かりやすく、エクセルを使った音道設計はそのまま利用させていただきました。
ただし、そもそもスピーカーのスペックが不明なのでそれらしい数値を入力して誤魔化しています。が、結果的には良い音になりました。


で、設計した音道はこちら。
くねくねしていますが、スピーカー的にはこれでよいそうです。他のバックロードホーンの作例を見ても同様にくねくねしています。
これをもとにスピーカーを自作していこうと思います。

材料


ダイソーのスピーカー
これが無いと始まらない・・・

 


ゴム集成材

マルトクショップという木材販売のネットショップで購入しました。
https://shop.woodworks-marutoku.com/
こんなブロック状の木材なんてホームセンターで手に入りませんからね・・・
(薄い板を木工ボンドで積層しても作れなくはないですが)
片側のスピーカーで2つのブロックを作ります。なので合計4つのブロックが必要。

一つ1000円ほどですが、4つ合わせると送料込みで5960円・・・
買ったほうが安いというのはヤボ。品質の良いスピーカーが欲しいわけじゃないからね。

 

MDF 【12×300×900mm】<O>

MDF板
これは材料ではなくて音道切削用のテンプレートとして使用します。
余ったものはスピーカーパネルとしても利用できます。

 

エーモン ダブルコード 0,2sq 10m 黒/白ライン 2804
導線
音響用ではなく、ホームセンターで買ったただの導線です。
カー用品コーナーに置いてあるものです。

木ねじ(皿頭)(細)
テンプレート固定用に使います。頭が隠れる皿ねじが良いです
出来るだけ細い木ねじを選びました。
ネジ径は2.1mmが最適だと思います。

木ねじ(丸頭)(太)
スピーカーを取り付ける為のネジです
ネジ径は3.1mmを使いました。

 

ニチバン 両面テープ ナイスタック しっかり貼れてはがしやすいタイプ 15mm NW-H15

両面テープ
テンプレートの仮止めや紙やすりをべニア板に張り付けるときに使います。
弱粘着タイプが良いです

 

ワトコワックス ナチュラル W-15 1L
ワトコオイル
スピーカーは表面処理によっても音質が変わるようです。
ニスやラッカー系は塗膜ができるのであまり好きではありません。
いかにもニスを塗りましたと言う質感が嫌いなので、やるならウレタンニス+鏡面研磨ですね。
今回は手軽に木目の質感を生かせるオイル仕上げにしました。手軽な割にナチュラルな仕上がりが良いです。

製作編

テンプレート

↑まずはA4用紙に印刷した設計図(型紙)を用意します。
MDFボードに貼り付けてテンプレートを作ります。今回は作りやすいように型紙を2つのパーツに分割してみました。

MDFボードに糊付けします。

糊は紙用のスティック糊でOK。
ちなみに、MDF(厚さは9mm)を2枚重ねにしています。(18mm厚のMDFが手に入らなかったので)
というのも、トリミング用のベアリング付きルータービットを使用するのですが、テンプレートが薄いとルーターの刃が出過ぎるので負荷がかかりすぎてしまうのです。

図3 テンプレートとルータービットその1

テンプレートが薄い場合、ルータービットのベアリングを当てたとき、切り込みが深くなり過ぎます。このままではルーターに負荷がかかりすぎ、最悪の場合ルータービットが破損することも・・・
「図3 テンプレートとルータービットその1」参照

図4 テンプレートとルータービットその2

テンプレートに厚みがあれば、少しづつルーターを落としながら切削ができます。
つまり、適正な切り込みで作業ができるのです
「図4 テンプレートとルータービットその2」参照

曲線の加工


最初にテンプレートの曲線部を加工します。
曲線部は全て円で設計しているので、サークルカット冶具を使ってトリマー加工すれば簡単です。


↑サークルカット冶具の作り方


サークルカット冶具の軸を入れる下穴を開けます。
型紙には円の中心を書き込んだので、そのポイントを穴あけすればOK。
出来るだけ直角に穴を開けたほうが良いので自作のドリル冶具を使っています。


↑サークルカット冶具の軸を下穴に入れます。

 

VGEBY 超硬エンドミル フライスシャンク 加工用カッター 4刃 鋼製 HSS-AL ストレート 5本入り 4mm 6mm 8mm 10mm 12mm セット
サークルカットに使用する刃はトリマー用ではなく、フライス用のエンドミルを使いました。
フライス用のエンドミルの方が安価に手に入りますし、スパイラル構造で切削跡も綺麗に仕上がるのでお勧めです。


一度に切削すると負荷が大きいので、少しづつ(5mmづつ)刃を出しながら加工しましょう


↑最終的に、曲線部分をこのように加工しました。
円形に切り抜く必要はありません。

直線の加工


直線部分はノコギリ(バンドソー)を使って切り取ります。
最終的に紙やすりで面を整えるので、線より外側を狙って切ると良いです。

テンプレートを仕上げる


べニア板などに120番位の粗い紙やすりを貼り付けて面を整えます。


テンプレートにはダボ穴用のガイドブッシュを挿入します。
ダボはスピーカーを組み立てるときの位置決めとして重要です。できるだけ同じ位置に加工できるようにテンプレートにガイド穴を作るわけです。

ちなみに、ガイドブッシュは特別な製品ではなく、ネジ用のスペーサーを流用します。
ダボはφ4mmの木の丸棒を切断して用います。つまりM4ネジ用のスペーサーをブッシュとして利用すればよいわけです。

blank
↑この様にスペーサーを埋め込むだけ。嵌め合いがゆるい場合はボンドで接着すれば抜けなくなります。

↓同様の手順でもう一つのパーツを作ればテンプレートは完成です。
(写真はビス固定用の下穴を開けています)

エンクロージャーの加工

テンプレートをエンクロージャーの材料(木材)に固定します。

固定方法として、弱粘着タイプの両面テープで仮止め → 細い木工用ビスでネジ止めすることにしました。
特に細い部分はテンプレートがズレやすいです。3~4cm置きにネジ止めしてテンプレートが動かないようにしましょう。

↑最初にダボ穴ガイドを利用してダボ穴を開けます

トリミングに使用するビットは軸側にガイドベアリングがあるタイプを使います。
大日商 ガイドべアリング付ストレートビット

大日商 ガイドべアリング付ストレートビット 6×10L25 030789


↑テンプレートに沿ってベアリングを当てることで、テンプレートと同じ形状を彫り込むことができるルータービットになります。
実際に使用するときは必ずテンプレートとベアリングが接していることを確認してから加工を開始しましょう。


↑一度に深く加工せず、3~5mmづつ刃先を出しながら繰り返し加工するのがポイントです。


↑トリミングの途中でビットの長さが足りなくなったらテンプレートを取り外しましょう。
一度トリミングしたらテンプレートが転写されるので、切削跡をガイドにして加工できます。


最終的に深さを確認しながら微調整して仕上げます。
深さは音道面積に直結しますから可能な限り設計通りに加工します


スピーカーケーブルを埋め込む溝を加工します。
↑写真のように平行ガイドを使ってルーター加工します。
実は、設計段階では音道に穴を開けてケーブルを通すつもりでした。が、ケーブルが音波を乱す原因になると思い、壁面に埋め込むことにしました。


設計には無い加工なので結構ギリギリの加工でした・・・


テンプレートを反転し、同様の手順で木材を加工するとスピーカーユニットが一組出来上がります。

エンクロージャーの組み立て

テンプレートを使って音道を切削したら格パーツを接合してエンクロージャーを組み立てます


木の棒を適当な長さに切断してダボ穴に挿入・接着します
(※当然ですが接着前に仮組し、接合できるか確認してから接着します)


↑スピーカーケーブルもこの段階で溝に埋め込みます。
この時、スピーカー側に接続するケーブルは15cm以上余裕を持たせておくと、後ではんだ付けするときに作業が捗ります。


接着剤はタイトボンドを使います。一般的な木工用ボンドより強力で速乾性に優れているのでお勧めです。
張り合わせたときに、”少量はみ出す程度”に薄く塗り伸ばすのがポイントです


最後にクランプでしっかり挟んで固定します。
この工法はクランプ必至。
普通のバックロードホーンは書籍などの重しを乗せて固定・接着することもできますが、分厚い集成材をくりぬいて作っているこの工法は湿度や残留応力の影響で木材が結構反ります。
この反りはおもりを乗せる程度では補正できません。クランプで締めあげないと口が閉じないのです。

面取り

SK11 ルーター・トリマービット ボーズ面 32mm SRB-11
エンクロージャーを接着したら角を面取りします。
面取りは紙やすりで丸めてもOKですが、今回はトリマービット ボーズ面を利用してルーターで加工することにしました。

このトリマービットは先端にベアリングがついていて、一定の距離を保ちながら安定した面取りができるようになっています。


↑ベアリングだけではコーナー部の面ダレが生じるので平行ガイドも併用しました。


コーナー部4か所の面取りをしました。
トリマーの面取りは綺麗に仕上がるので面白いですよ。

スピーカー穴を作る

ダイソーのスピーカーは約5cmの穴を開ければ装着することができます。
穴を開けるにはホールソーを使うと便利

高儀 EARTH MAN 木工用 ホールソー 7枚刃 刃巾25mm
木工用 ホールソー 7枚刃は刃を入れ替えることで25/32/38/45/50/58/64mmの7種類の穴を開けることができます。価格も1000円前後で手に入るので結構便利なツールです。

blank
ホールソーの中心にはドリルがありますが、はっきり言って使えません。
そこで、いつも5~6mmの下穴を開けてからホールソーを使うことにしています。
下穴を開けると言うひと手間加える作業ですが、ホールソーが安定するのでより綺麗な穴が加工できるようになります。


加工のポイントはホールソーを下穴に入れ、高速回転で切削すること。
また、連続して切削すると摩擦熱で焼けてしまうので、0.5秒おきに上下させ、断続的に切削するのが綺麗に加工するポイントです。


綺麗な円が加工できました。
勢いあまってホールソーのフランジ部分が接触して青い塗料が移ってしまいましたが、やすり掛けすれば簡単に落とすことができます。

やすり掛け


クランプした時にはみ出した接着剤や木材の段差を整えます。
↑このように平らなべニア板に両面テープで貼り付けると綺麗な平面に研磨できます。
紙やすりセットを使うと便利です#150→#240→#400と順番に細かい目にしていきます。
#150の段階で段差や接着剤などを全て取り除いてください。#240と#400は#150でついたやすり傷を取るためのものです。

オイル仕上げ

仕上げはワトコオイル ナチュラル W-01 200MLを使用しました。
オイルなので木目は勿論のこと、木の質感も生かす仕上げオイルです。
(ニスで塗ると被膜が覆い、木の質感が無くなってしまうのであまり好きではありません。)
ワトコオイル ナチュラル W-01 200ML


刷毛でたっぷり塗っていきます。音道の中も見える部分はしっかりとオイルを塗りますよ。
塗ったら30分放置し、布切れで余分なワックスをふき取ります。

もう一度ワトコオイルを塗り、#400番の耐水ペーパーでウエット研磨(オイルで濡れた状態でやすり掛けするコト)してふき取るとより質感が良くなります。


オイル仕上げをしたら24時間以上そのまま放置し、乾燥するのを待ちます。

スピーカーユニットの取り付け

スピーカーに導線をはんだ付けします。
スピーカーには「+」と「-」があります。音を出すだけなら電極は関係ないのですが、左右のスピーカーで逆位相になった場合に音質が低下してしまいます。

とりあえず、スピーカー側の「+」と「-」、アンプ側の「+」と「-」が一致するように取り付ければ間違いないです。


↑こちらはダイソースピーカーの内蔵アンプです。
基盤をよく見ると「+」と「-」という表記があり、スピーカーの+端子と-端子を表していることが確認できます。

更に、「SPKR」と「SPKL」という表記があり、それぞれ右と左を表していることが分かりますね。


空気室(スピーカーの後ろの空間)には適量の吸音材を入れると良いのだそうです。
適切な吸音材の量はユニットごとに違います。結局、試行錯誤して適切な量を決めることになります。
※あまり違いは分かりませんでしたが、吸音材を入れると高音のザラツキが良くなったように感じます。


スピーカーを穴に入れてネジ止めします。

スピーカーだけではデザインがしっくりこなかったので、MDFでスピーカーパネルを作ってみました。


しっかりネジ止めします。でも、締めすぎるとMDF製のスピーカーパネルが割れるので慎重に・・・

完成・音質

スピーカーはならし運転して十分にエイジングしてから本来の音が出るのですが、とりあえずできたばかりの音を聞いてみました。

無改造100均スピーカーの音


まず、無改造の100均のスピーカーとは音の質がまるで違います。
無改造のスピーカーは高音がシャカシャカ耳障りで、低音も聞こえません。
いかにもプラスチックの反響音という感じです。
ボリュームを上げるとより顕著になります。

木製バックロードホーンの音


木製バックロードホーンに改造したものは高音の耳障りな音が無くなり、低音の再現性もよくなり、聞こえてきます。
さすがに絶対量としての低音は不足していますが、オリジナルでは聞こえない音域がはっきり聞こえるようになっています。

全体としてふくよかな音質に生まれ変わったような感じですね。

↓メイキング動画に比較しているので実際にお聞きください。
※イヤホンで聞くと違いが分かりやすいです。

まとめ

今回は遊び心半分でダイソースピーカーをリメイクしてみたわけですが、エンクロージャーの役割というか、重要性が確認できました。

同じユニットを使って、こうも違う音になるのかと驚きです。

と、同時に、「じゃぁ」ちゃんとしたユニットを使ってまともなスピーカーを作ったらもっとすごい音が聞けるんじゃないかとむずむずしています。

多分、近いうちにスピーカーを自作すると思います。

コメント

  1. blank Michael より:

    Very Nice wood work. Could you email me the backload horn template paper pattern in PDF format? Thank you.

  2. blank Ricardo André Riboldi より:

    Dear Mr.
    I’ve found very amazing this project. I’ve a couple of this speaker. May You provide a copy of draw of your soundspeaker project.
    Sds.
    Ricardo.

  3. blank Kerry Smith より:

    I really enjoyed this! I think I will try it. Keep posting your DIY video’s, they are great! (PS, I live in Chiba-Ken)

  4. blank kukekko より:

    スピーカーにボックスを作成して、音を良くするという試み、興味深く拝見しました。

    このページをFirefoxで閲覧するとセキュリティ警告が出ます。
    httpsの設定に問題があるのではないでしょうか?