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トラックボールマウスをベアリング仕様に改造

手仕事

トラックボールマウスとは、ボールを指で動かしてマウスポインターを操作する入力デバイス。
トラックボールの操作は想像以上に快適。通常のマウスも使っていましたが、結局トラックボールに落ち着きました。
ですが、この点は操作性に求めるものやフィーリングによって意見が分かれるところです・・・

私が使っているトラックボール(左M-XT3 右M570

蛇足ですが、

M-XT3はネットの評価が低いのですが、私は割と好きです。
クリック感やホイールはM-XT3の方が使っていて心地よいです。この点はネットの評価も同じ。肝心のトラックボールの操作感は酷評なのですが、この点は色々な方のレビューをみて感じたことは、たぶんポインターの速度設定があっていないのだと思います。
トラックボールマウスの設定は加速はできるだけゆっくりに設定することが必要というか、ポイントです。
M570はこの設定がデフォルトでいい感じに有効になっているのでポインターの動き始めが非常に滑らかに仕上がっています。
一方、M-XT3の方は加速の設定がありません。ですから、ポインターの動き始めが非常にクイック。そのままでは細かい作業に向きません。
この場合、Windowsのマウスのプロパティから、「ポインターの精度を高める」にチェックを入れ、ポインターの速度を若干遅めに設定するれば割といい感じになります。

まー、単にフィーリングが合わないだけかもしれませんが・・・
ちなみに電池の持ちやセンサーの耐久性はM570の方が上。

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ベアリング化計画

今使っているトラックボールはボールをルビーやアルミナセラミックで支持しています。
どちらも摩擦係数の小さな素材ですが、繊細な作業をすると軸受の摩擦によって引っ掛かるような感覚があります。

滑り軸受の限界です。この点を転がり軸受にできれば抵抗が大きく減り、スムーズな操作感が楽しめるはず・・・
ですが、普通のベアリングでは一方向にしか回転しないので結局滑り抵抗が生まれてしまい二の足を踏んでいました。

ですが、ベアリングに替えるだけでも思った以上に効果があったので早速試してみることにしました。

模型でベアリングの効果を確かめる

こんな簡単なモデルを作ってボールの動きを確かめてみました。
模型製作は自作のCNCフライス盤を使ったので10分ほどで加工終了

トラックボールの球を乗せれば完成~

動作テスト
比較のためM570のボールを転がしてみました。

模型のテスト
スムーズにボールが回転し、わずかですが慣性によって回転しています。
操作感もとてもスムーズなのでベアリングに交換することで
ベアリングに封入されているグリスを脱脂し、粘性の低いミシン油に交換すればよりスムーズに回るでしょう。

トラックボール式マウスのベアリング化

M-XT3の同型機M-XT2をベアリング化することにします。
M-XT2はホイールがチャタリングを起こしているので、部品取りとしてしまっていたものを実験機にしました。

星形の特殊ねじT6型が使われています
PROMATE 精密ヘクスローブレンチ8p SHL-8
PROMATE 精密ヘクスローブレンチ8p SHL-8

ねじは全部で6か所

ねじを取り外せば簡単に本体ケースを開くことができます。

トラックボールのハウジングは本体に刺さっているだけなので抜き取ります。
センサーモジュールは、傷をつけないように取り外します。

ハウジングのねじを外し、ボールを支持するルビーを取りだします。
(ルビーが入ったままルーターで穴を空けるとビットが壊れてしまいますから・・・)

3つのルビーが取り出せました。

綺麗ですね。貧乏性なので捨てられない・・・
何かに使えないかなー

さて、ルーターでベアリングを入れる穴を空けます。
ベアリングは木時計で使っている内径3mm外形7mmのもの。
サイズ的には外形3mm位のものが適当かと思います。
ちょっと大きいのですが、手持ちはこれしかないので強引に入れてみることにします。

で、ベアリングが入る穴を空けてみました。

こんな感じにベアリングが入ります。

ベアリングの突き出し量が難しいです。
センサーからの焦点距離から乖離してしまうとセンサーがポインターが動かなくなってしまいます。この距離はハンドメイドで調整するには結構シビアですが、手作業でやるほかありません。
軸部にパテを盛って距離を調整しようと思います。

ベアリングの軸部をルーターでカット。
パテで調整できるように少し深めにルーターを入れました。

ベアリングに軸を通し、このように入ります。

ベアリングの軸には真鍮ピンを使いました。
中央部にペンチで凹みを付け、ベアリングを圧入します。
こうすることでスラスト方向(軸方向)にベアリングが動かなくなります。

パテで軸の高さを調整。
実際にセンサーで反応を確かめながら作業しました。

本体にハウジングを取り付けようとしたときに問題発生。
ベアリングが干渉してしまいます。
幸いなことに基盤などの重要な部品には干渉していないので、見た目が悪くなりますが干渉する部分もルーターでカットすることにしました。

ちゃんと蓋が閉まってボールがスムーズに回転することを確認。

ボールの動きを確認

さて、ボールの動きを確認してみましょう。
ちなみに、ベアリングはグリスを脱脂し、ミシン油を注いでいます。
脱脂したのでベアリングも良く回ります。ボールの抵抗もほとんどなくなり、ボールの動きはじめもとてもなめらかです。

誤算

ボールがスムーズに回転するので、”ボールに勢いをつけて回転させる”という使い方を想定してましたが、こちらは微妙です。
ベアリングによって、ボールの慣性で動くことは動くのですが、(ベアリングの)スラスト方向とラジアル方向では抵抗が違います。
従って、ボールが抵抗の低い回転方向に流れてしまうのです。
ということで、ボールを慣性回転するとマウスポインターが曲がって動いてしまい、思わぬところにポインターが移動してしまうという不具合に作ってから気が付きました。orz

ということで、このベアリング方式は操作性は改善するものの、課題が残る結果となってしまいました。
→古いベアリングを使っていたので一つ動きの悪いベアリングがありました。交換したところボールの動きがさらに良くなり、ポインターの曲がりもほぼなくなりました。

下の画像はボールキャスターの特許画像ですが、こうした構造も考えているので気が向いたら自作するかもしれません。
鉄球を使うと潤滑油が必至なので、セラミック球が良いかな?でも値段も高そう・・・
むしろ、キャスターそのものをボールの支持に使ってしまおうか?

出典:http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2014069963

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